いじわるじじいは死んだー翡翠物語③

 

じじいは、五作を助ける決心をしました。

 

ちょうど、隣町で中国の李完清と名乗る

名医がやってきたとうわさで聞いていたので、

隣町に行ってみることにした。

 

 

 

「私が中国から来た李完清だ。何の用だ?」

 

「助けて欲しい人がいるのです。

今すぐ隣の村まで来てください。

馬をあちらに用意しています。」

 

「わかった、それでは案内してもらおう」

 

 

 

「村長さん、こ、これは

一体どういうことですか?!」

 

「こ、これは…まず、そんなことは後でいい!!

李完清さん、この女です。

診てやってください、お願いします」

 

 

「あぁ、 これは中国でも

はやっている伝染病と栄養失調だな。

この伝染病の薬はあるんだが、

とても高い。どうする?」

 

「大丈夫だ、金ならいくらでもある。

今すぐ女に飲ませてやってくれ。」

 

「わかった。」

 

李完清の薬のおかげで、

五作の妻はすっかり元気になりました。

じじいは李完清の薬を買って

たくさんの財産を失いました。

しかし、じじいは

今はそんなことなど頭の中にありません。

五作が妻を抱きしめながら

嬉し泣きしている姿が

ずっと脳裏に焼き付いています。

 

 

 

「いがったなぁ、五作…」

 

「んだなぁ、喜んでらっけな。」

 

 じじいがひっそり閑とした居間に

独り言をつぶやくと、

仏壇の翡翠の元から、

ずっとずっと聞きなれた

ぬくもりのある声がそこを包んでいた。

 

「やっぱり、おらは幸せ者だなぁ。」

 

「お…おめぇ…!」

 

「寂しい思いさせで本当にごめんな。

んだども、とうとうあんたのごど

迎えに来るときが来たんだ。

これがらはずっといっしょだがら、

なんも寂しい思いしねくていがらな。」

 

 

五作は、じじいにお礼を言うために、

じじいの家に訪れた。

 

「村長さん、村長さん、

借金と薬のお礼を持ってきました。

村長さん、いませんか?」

「留守なば、土間さ置いで

後でまたお礼さ来ようが。」

(留守だったら)

「んだな、村長さんが

薬買ってけねば、いまおめが

いねがったがもしれねぇ。

本当一生お礼をしても足りねぇ。

ありがでぇごどだ。」

 

 五作と五作の妻は、

土間にお金とお礼のものを

置いて帰ろうとしたその時、

なんとじじいが倒れているのを

見つけました。

 

もう息はありませんでした。

 

翡翠の数珠を握りながら、

居間で息絶えているじじいの顔は、

穏やかでした。

 

 

 

「あー村長が死んで本当に安心したなぁ。」

「んだんだ、まんずあれなば

だめだったなぁ、早ぐ死んでけねが

など思ってらった。」

「おらも、村長にモウタが

殺された時は、なんとやって

襲ってやろうがど思ってらった!」

 

「そういえば村長の葬式、

五作の家であげだんだよな。」

「んだんだ、なしてだんべな。」

「なぁ」