憂鬱な冬子とシトリン①

冬子(トウコ)は

毎日が憂うつだった。

 
なんの取り柄もないと思って

生きてきたけれども、

ここ数ヶ月、

仕事で転勤してきた上司からの

パワハラまがいの言動に

こころは疲弊し、
 
食欲までもなくなっていた。
 
 
そんな私を見かねて、

親友の早苗(サナエ)が

お茶しに行こうと誘ってくれた。
 
 
「私、仕事だけは人並みに

頑張れると思ってたのに…ハァー。」
 
 
「冬子、予想以上にテンション低っ!」
 
 
「なんかね…もう、

なにもやる気起きなくてねー…。」
 
 
「うーん、冬子らしくないねぇ、

あっ!そうだ!

私、実は最近パワーストーン

作ってもらったんだけど

そこ一緒に行ってみる?

私もあてには

していなかったんだけどね、

最近調子いいんだよね♪
 
ちょっとスケジュールみたら

今日空いてるじゃん!

とりあえずお店行ってみようよ!」

 

 

早苗に連れてこられたのは、

とあるひっそりとしたサロン。

 

 

「ヨフィさん、急に連絡して

ごめんなさいね~

今日は友人を連れてきたくて!

空いてたから運が良かったです 」

 

 

「こんにちは、大丈夫ですよ^^

寒いので上がってお茶でも

飲んでいってください。

今日のハーブティは

”自分が大好きになる”

というテーマのブレンドハーブティを

入れてます~」

 

 

一通り自己紹介して

世間話をしたところで

「じゃ、あとは私は席を外すからね!

なんかいい石あるといいね

じゃ、またあとでね!」

 

と、いつもの軽い調子で

早苗は颯爽と週末のデートの

約束に帰っていった。

 

 

「早苗はいつも

あんな感じで明るいので…

 私、仕事の事くらいで

落ち込んでいるなんで

ホント情けないですよね…

 しかも初対面なのに…。」

 

 

「そんなことないですよ、

皆さんうちに来れば

普段なかなか言えないことを

打ち明けてくださって、

その上で自分に今一番

しっくりくる石を選んで

いかれるのでね^^

 

冬子さんは今、

どんな風になりたいとかは

ありますか?」

 

 

「そうですね…、

今はとにかく上司と

いるだけでしんどいというか、

毎日仕事に行くのが憂鬱なんです。

わたしストレスも

うまく発散できないし、

最近食欲も落ちてきてしまって…

なんていうか…

こんなことでダメなのは

わかってるんですが、

それに立ち向かう気力も

起きないんですよね…。」

 

 

「そうなんですね、

気力が起きないというのも

お辛いですよね。

そうですね…

今より憂鬱さが少し

和らいでくるとしたら、

お気持ちは少し違いますか?」

 

 

「そうですね、

ここ数カ月、

今までにないくらい憂鬱なので、

せめて、その上司のことが

気にならないくらい

気持ちを持ち直したいかな、

というのはありますね。」

 

 

「わかりました、

冬子さん、色でいったら

黄色とピンク、緑、紫の中では、

 今はどの色に惹かれますか?」

 

 

「うーん、普段は

緑系や水色が好きなのですが…

最近は黄色が気になるかな?」

 

 

「そうなんですね、

わかりました^^

あと、普段ブレスレットと

ネックレスでしたら、

どちらが身に着けやすいですか?」

 

 

「あ、私受付をしているので、

どちらかというと

ネックレスの方が付けておいても

支障ないですね。」

 

 

「わかりました、

そうですね…

あ、あった、こんな感じの

ペンダントトップはいかがですか?」

 

つづく

 

 
 
 
 
※この物語はフィクションです。

登場人物や設定などはすべて架空の人物となります。