チャンスの神様がズラだった物語

「私は頑張り子。

頑張っていろんなことをしなきゃいけないの!

この前、講演でチャンスの神様は前髪がないって聞いたの!

 

私は神様を捕まえなきゃきっと幸せになれないの。

チャンスの神様は前髪しかないみたいだから来たらすぐ前髪をつかむんだ!」

 

 

と頑張り子は張り切っていました。

 

そしたらチャンスの神様がしゅーっと頑張り子の前にあらわれました。 

 

いまだとばかりに

頑張り子は神様の前髪をわしづかみにしました。 

 

そしたら、 
実は神様はみんなに前髪を捕まえられすぎて、

髪がなくなってしまっていました。

 

 

しかもチャンスの神様は前髪しかないと

世に広まっているせいか、

神様は

仕方なくかつらをかぶっていました。 

 

 

そんな神様の前髪だけのかつらを

鷲掴みにしてしまった頑張り子の手には

かつらだけが残り、

 

チャンスの神様はまたしゅーっと過ぎていってしまいました。 

 

 

頑張り子は

「どうして私はこんなに頑張っているのに、捕まえられないの!?」

と神様に嘆きました。 

 

「私はもう頑張って頑張って頑張りきれません。

なのにいいことは一つもありません。

それはどうしてですか? 」

 

 

そしたらつるつるの髭おじいさん姿の神様が

頑張り子の後ろにしゅーっとやってきて、 

 

「ふぉふぉふぉ、頑張り子や、

おまえは頑張らないと認めてもらえない、

頑張らないと存在価値がない、

頑張らないといいことが起こらない、そう思っておらんかい? 

頑張ることは素晴らしいことじゃ。

 

 

だがな、わしわ頑張り子が頑張れない時も、

いつもお前を愛しているんじゃよ。

もっと、もっと、と苦しんでおらんかい? 

 

しかしのう、

そなたが

‘‘頑張らなければ私はNOである‘‘

という思い込みを手放さなければ

 

そなたはいつまでたっても報われん。 

 

そう、

そなたは潜在意識で

‘‘自分はNO‘‘という現実を引き寄せているのじゃ。 

 

 

まずはありのままの自分を愛するのじゃぞ、

 

そして、

わしのように本当は前髪がなかった

 

つるつるはげ爺のような神様でよかったら

わしとゆったりと手をつなぐんじゃぞ。

 

そうしたらそなたは報われる。」 

 

 

そういって神様はまたしゅーっといなくなりました。 

 

頑張り子がそうかと思い周りを良く見渡すと、

神様はいつもしゅーっと頑張り子の周りをしゅーっと回っていました。 

 

そして頑張り子が神様から差し伸べられた手をつなぐと、

ピカッ、キラッ、ポワーンと光の球になって

幸福の世界に上昇していきました。 

 

そう、

頑張り子は、

頑張らなくなってやっと石のような体が軽くなり、

幸福の世界へ飛び立つことができたのです。